仮想通貨大量購入とその訳

仮想通貨を大量購入

香港証券取引所に上場する中国企業「Meitu(美図)」は3月17日、完全子会社Miracle Visionを通して、暗号資産(仮想通貨)のビットコイン(BTC)イーサリアム(ETH)を買い増ししたことを発表しました。

Meituは2008年10月創業。主に、スマートフォンやパソコンで画像や動画を編集するアプリ等を提供する企業です。自分でカンタンに映える画像修正ができる美顔アプリ「美図秀秀」を開発、大ヒットさせた企業です。

今回のビットコイン購入額は2160万米ドル(約23億円)分でおよそ386BTC、イーサリアム購入額は2840万米ドル(約30億円)分で1万6,000ETHです。前回3月7日にはビットコイン(BTC)を1,790万米ドル(約19億円)分で約379BTC、イーサリアム(ETH)を2,210万米ドル(約24億円)分で1万5,000ETH購入しています。

前回の購入と合わせ、計9000万米ドル(約98億円)分の仮想通貨を購入したことになります。特にイーサリアムは史上最高の購入額となりました。

仮想通貨購入の目的

前回と今回の購入はどちらも「仮想通貨投資計画」の一環とのことです。

そしてビットコインの購入目的は、企業資産の分散化と考えられます。ビットコインの供給量の上限が決まっていること、法定通貨や商品と交換できること、インフレヘッジとして利用できることが特長だとMeituは表明しており、ビットコインはゴールド(金)のように価値の保存手段として利用できるとも主張しています。また機関投資家や大手企業のビットコインへの需要高まりも後押ししたと考えられます。

さらにイーサリアムの購入目的は、ブロックチェーン業界へ参入するための足掛かりです。MeituはDAppsの展開を視野に入れており、いずれ必要になるネットワーク手数料(ガス代:イーサリアムの取引手数料)を手当てする必要があるからです。またイーサリアム関連のブロックチェーンプロジェクトへの投資も検討しています。

さらにMeituは、ブロックチェーン技術は既存の金融業界とIT業界を変革する可能性を秘めていると考えています。モバイルデバイスのインターネット技術がパソコンのインターネットサービスとオフラインのサービスを変えたのと似ていると表明。2005年ごろのモバイルデバイスにおけるインターネット技術と同様、ブロックチェーン技術の発展はまだ初期の段階だと述べています。

そして仮想通貨は、資産の分散化に活用できるだけなく、今後価値の上昇にも期待できると主張しています。特にコロナ禍の経済対策で中央銀行が法定通貨を過剰に供給している現在では、現金の価値が下がる可能性があり、財務管理に有益だとも表明しています。 一方これは長期的な見通しであり、仮想通貨は価格変動が大きくなる傾向があるとも指摘しています。それゆえ時価総額が大きいビットコインとイーサリアムの購入を決めたとしています。

このように仮想通貨を取り巻く環境、ビジネスシーンはこれからも大きく発展していくものと想定され、それに伴い仮想通貨の取引量も増えマイニング量も増大すると考えられます。

専門用語解説

ビットコインの供給量の上限

ビットコインの発行枚数は上限が21,000,000枚と決まっています。 これは、ビットコインが市場に出回りすぎて希少性が下がり、価値も下がってしまうことを防ぐためです。 そのため、一定のペースでこの上限に到達するようにインフレ率(新規発行枚数)がプログラムで定められており、定期的に新規発行枚数が減少するのです。

インフレヘッジ

インフレ(物価の上昇)によって通貨価値が相対的に減少するリスクを回避すること。預金などの現金資産を、インフレ時に値段が上昇する不動産や貴金属など現物資産に乗り換えることで保有資産価値の相対的な減少を防ぎます。

DApps(ダップス)

 DAppsはDecentralized Applicationsの略語。非中央集権の分散型アプリケーションのことを指します。仮想通貨の根幹技術であるブロックチェーンを利用しているので、中央管理者なしで運営・管理できるのが特徴。アプリ内データの安全性・整合性についても折り紙付きです。また、ほとんどのDAppsはイーサリアムのプラットフォーム上で開発が行われていますが、これはもともとイーサリアムがアプリケーションを開発するプラットフォームとして誕生した為です。

一部引用:サイトCOINPOST、著者K.Kobayashi

一部引用:サイトBITDAYS