米バイデン政権は、暗号資産(仮想通貨)マイニングのエネルギー消費量と炭素排出量を削減するための政策提言を準備していて、8月頃に発表する予定だとBloomberg Lawが報道しました。
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デジタル資産は気候やエネルギーを考慮
ホワイトハウス科学技術政策室のエネルギー担当主席補佐官コスタ・サマラス氏は
「もし仮想通貨が、金融システムの何らか意味ある一部となるのであれば、それを構築していく上では責任を持ち、炭素排出量を最小限に抑えていくことが重要だ。
デジタル資産について考えるときには、気候やエネルギーのことを考慮する必要がある。」
また、サマラス氏は、「 PoS(プルーフオブステーク)に移行した世界、あるいはプルーフオブワークとプルーフオブステークが混在する世界において、適切な政策対応は何かを考える必要がある」とも述べました。
PoS(プルーフオブステーク)とは
保有(ステーク)する仮想通貨の割合に応じて、ブロックを新たに承認・生成する権利が得られるコンセンサスアルゴリズムのこと。
仮想通貨の保有期間も考慮する場合がある。
取引の承認に高性能なコンピューターが必要で、大量の電力消費を伴うコンセンサスアルゴリズム「Proof of Work(PoW)」の代替手段として生まれました。
承認を行うと、報酬として新規発行される仮想通貨を受け取ることができる。
バイデン政権!電力需給への対応状況も調査中
バイデン政権のサマラス氏らのチームは、電力需要がピークに達する際に、仮想通貨マイニング施設が一時的に運転を停止することで、地域の電力の供給状況に対応できるという説についても調査する予定だという。
サマラス氏は、テキサス州でこうした主張がなされていたとも言及している。
地域の送電網に利益をもたらす
背景として、仮想通貨に先進的な米テキサス州では、ビットコイン(BTC)などのマイニングが、地域の送電網にとっても利益をもたらす可能性があると論じられていた。
仮想通貨マイニングなどを行う企業WhinstoneのChad Harris CEOや、テキサス州ブロックチェーン評議会のLee Bratcher会長は、マイニング施設は、電力が余りがちな農村部に施設を構えることができるため、余剰供給分を消費可能で、その時々の電力需給状況に応じて、運転のオンオフを選択できると唱えていた。
有利な価格条件を提示できる
テキサス州では、電力需要が増えるとその価格も上がる仕組みを有しており、電力料金が高騰した際、マイニング企業は、稼働を停止して、より有利な価格条件になるのを待つことができるという。
騒音や汚染、化石燃料施設の再稼働などの状況確認を直接行う
上記のことを踏まえてサマラス氏は、マイニングに伴う騒音や汚染、化石燃料施設の再稼働などの状況についても確認したいと述べている。
フレアガスを発電に利用
テキサス州でのマイニングについては、他にテッド・クルーズ議員などが、天然ガス採掘時に焼却処分されるフレアガスを発電に利用し、それによりマイニングを行うことを提案している。
フレアガスのエネルギーを、AIやディープラーニング、仮想通貨マイニングに利用するソリューションを提供するCrusoe社によれば、フレアガスをデーターセンターに活用する場合、メタンガスを98%、CO2eを63%、一酸化炭素を95%削減できるという。
フレアガスとは?
フレアガスは元来、石油の精製時に必然的に発生した余剰ガスを手軽に処理する仕組み。
本来ならパイプラインなどを経由して、市場に出回るところ、供給に対する需要が追いつかない場合に保管コストを削減するためにガス・石油を直接燃やす行為を指す。
フレアガスの禁止を求めている世界銀行はガスのフレアリング行為を「比較的安全な方法であるものの、無駄が多く環境汚染にもつながる」と評している。
一方で、石油企業はいずれにせよフレアガスを燃焼するなら、仮想通貨マイニングなどの用途に当てるべきとの声もあり、Exxonのような取り組みは2月にも石油大手ConocoPhillipsが行なっていることが明らかになっていた。
同社もExxonに並ぶ世界的石油企業で、ノースダコタ州のバッケン地域で試験的な取り組みとして仮想通貨採掘企業にフレアガスの利用を認めていた。
マイニングASICを搭載したトレーラーが油井付近に移動して、その場でガスを電力に変換してマイニングを行う仕組みとなっている。
バイデン政権の政策|政府関係者と有職者の見解
仮想通貨マイニングの政策について政府間家者と夕食の見解について紹介していきます。
政府関係者の見解
今回の大統領令が「歴史的」なものだとコメントしました。
仮想通貨推進派で米議会のブロックチェーン党員集会会長の一人を務める共和党派のTom Emmer議員は現政権のこれまでの仮想通貨コミュニティに対する規制対応を踏まえると、今回の大統領令が「オープンでパーミッションレスな技術を優先する仮想通貨政策で世界をリードする重要性を十分認識した結果をもたらす可能性は低い」と悲観しました。
有職者の見解
「今こそ仮想通貨企業は政策立案者と対話を行う機会だ」と語った。